普通の風邪

「お前の風邪の話なんか別に聞きたくないよ」という意見も無視して、今回は風邪引き真っ最中の話。しかも特にテーマを絞らない散漫な話。

小さな頃から病弱な子どもだった。というとオーバーか。虚弱体質ってやつ?すぐに風邪をひく。熱が出る。毎回40度近く熱が出る。すぐに学校を休む。仕事も休む。話にならない。

健康管理の問題じゃないのかと、手洗い、うがいはかかさない。やたらと厚着をする。夏でもクーラーに弱いので長袖。半袖になれるのは一年で一週間ぐらい。マスクと風邪薬と解熱剤のストックを一年中カバンに入れていた。あぁ、箱売りの徳用マスクが発売された時の喜びは忘れない。

それが一昨年までの話。さすがに原因はある程度わかっていた。扁桃腺だ。あのノドチンコの脇の扁桃腺がでかいのだ。どの病院を受診しても最初に「扁桃腺がこんなに大きいんだから高熱が出て当然」みたいな事言われる。しかも腫れる。風邪で鼻が詰まっている時に、扁桃腺が喉をふさいで呼吸できなくなる苦しみといったら、もう。

うちの母も扁桃腺が大きかったのを手術で切ったことがあるらしい。一週間くらいの入院ということ。まぁ大昔だしな。じゃ、俺も切るかと医者に尋ねるとやっぱり「一週間くらいの入院」アレレ、昔とかわんないの?

もうちょっと小さかったら日帰りは無理でも2、3日で済むんだけど、と毎回医者に言い訳される。包茎手術だって日帰りレーザー手術の時代に、何でこんなことに。同じチンコって名前なんだから、もうちょっと喉の方も改善してほしい。

で、結局10日くらい入院して切った。医者が驚く大きさの扁桃腺は、今頃大学病院のホルマリンの中で眠っているらしい。ここまでは思い出話。人よりでかい扁桃腺が敏感にウイルスをキャッチ!その大きさを生かしてジャンジャン菌を培養して体中に送り出すシステムは崩壊した。

ここから完全に別人になったように風邪をひかなくなった。一ヶ月に何回も引いていたのが、今では一昨年に切除手術をしてから今回で2回目の風邪だ。しかも普通の風邪。喉はつまらない、高熱も出ない。鼻がグズグズするだけ。

小さい頃から自分のことを「寒がり」だと思い込んでいた。でもそれって「いつ風邪ひくかもしれない」という不安から大量に服を着込んでいただけだったらしい。今では夏はもちろん春や秋にも半袖で過ごすことがある。なんかもう温度感覚まで変化しちゃった感じ。

一回の手術でこうも変わるとは。なんか、こう「改造手術で耐寒装備のボディを手に入れた」ぐらいのイメージ。で、今回の風邪。なんだか「寒いのにも平気」な自分をちょっと過信してしまった結果みたい。

想像してみよう。小さい頃から積み重ねてきた「これくらいの寒さなら長袖着よう」「この季節になったからセーター脱ごう」という細かい温度感覚が、いい歳こいて完全にリセットされちゃったのだ。本当にリセット。以前のデータが参考にならない。それはそれで、ちょっと困る。

今回は運も悪かった。雪が降った日の夜にはしゃいでいたら、ちょっと寒気が。まぁいいかと寝不足で歯医者に行ったら「人より唾液が多い」とバキュームホースを突っ込まれたまま一時間の治療で口の中がカラッカラ。グッタリして帰宅して手洗い&うがいするの忘れて横になるが、治療跡が痛くて二日間眠れず。そして風邪へ。

逆に重なりすぎて「あぁ、ここまでやれば俺は風邪をひくんだな」という確認ができた。普通の風邪ってすごいな。ちょっと市販の薬飲んで暖かくしてたら治ってきた。楽勝だ。何に勝ったのかわかんないけど。

昔から漫画やドラマで風邪引き病人に「うどん食べて暖かくしてな」とか「寝てれば治る」とかいうシーンを見る度に「そんなんで治るわけないだろ、風邪なめんな」と思っていたけど、どうやら間違っていたのは自分のようだ。たかだか風邪でゲーゲー吐いたり救急搬送されたり点滴受けたりする人は、世の中では少数派なんだな。あたりまえか。

何が言いたいかというと、もしあなたの子どもが病弱で「人より扁桃腺でかいですね」とよく言われるようなら、迷わず小さい時に切った方が良い、という話。大人になって切っても良いけど、変化が大きすぎてちょっと困惑する。

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