新素材による冬のスタイルの変貌(自分以外)

外出する時にかかせない黒のコートは、もう20年以上着ている。ボロボロだけど。そして中に着る黒い長袖&黒のジーンズ。

まるで昔のアニメキャラのように毎日毎日同じ格好ができるのは、気に入った服を最低で3着ずつ買うようにしているからだ。着たい服が洗濯途中で着られないなんて、そんなことは我慢がならない。

なんかもうオシャレでも何でもないんだけど、このとおり自分の服装は数十年間全く替わってない。でもさすがにコートはくたびれてきた。

代替物が無い

で、新しいコートが欲しいわけだ。着古しちゃったコートを着てるけど、好きで着古してるわけじゃない。「着古した味」とかを求めるには俺の精神年齢は幼すぎる。

でも世の中は古い方が味があるんだってさ。ダメージジーンズぐらいまでは…なんとか理解できる。ビンテージやオールドなものを求める。そのモノが過ごしてきた時間に敬意を払う。わからなくもない。

でも「最初から古っぽく作る」って本末転倒じゃね?服ならまだしも最近はギターやベースまでレリック加工。そういう「スタイルにこだわる」人々にとって「わざと古く作った偽物をもつ」ってのはアリなのか?

古くなくていいんだし、新品のツイードのロングコート(黒)なら売ってるだろ、と店を回るけど無い。本当にない。というかロングコートがない。なんでだ?

冬のオシャレさん達

ふと我に返って街ですれ違う人々を見る。アレ?コート着てる人がいないね。真冬だよね、今。寒くないのかな?

これが一週間ぐらい前の話。なんだか急に世界に取り残された気がした。ちょっとムキになって原因を考えると「暖かい新素材の服が増えたから」かな、という想像にいたる。

まぁ普通のオシャレさん達には常識なのかもしれんが、オシャレ雑誌なんて数十年読んでないオッサンにとってはコペルニクス的転回なわけで。

そういや世紀末の頃、フリースなる新素材が出回り始めて急激に人々が薄着になった時期があったけど、その流れは見ていないところでも続いてたんだろうなぁ。

街中で人を見ていてコートの他に見なくなったものに気づいた。マフラーだ。要するに「一番寒い時に活躍する」部分が省かれちゃったんだな。

冬の人々(勝手にリサーチ)

まぁここまで全く個人的な主観に基づいて書いてるんだけど、本当にそうなのか一応調べてみた。あくまで個人的に。

ロングコートとマフラーの着用率を定点3カ所で30分づつ目の前を通る人をランダムに数えてみた。ちなみにロングコートかどうかは完全に俺の主観だ。(だいたい膝ぐらいの丈で)

1.ターミナル駅の入り口付近
男性23人中ロングコート1人マフラー3人
女性45人中ロングコート0人マフラー7人

2.郊外の大型ショッピングモール
男性10人中ロングコート0人マフラー0人
女性22人中ロングコート0人マフラー1人

3.新興住宅地の駅前ストリート
男性11人中ロングコート1人マフラー1人
女性16人中ロングコート0人マフラー2人

うーん。ショッピングモールは車で来てる人が多いから、そもそも防寒の必要性が薄いんだろうけど、それにしても全体的にロングコートの人が少ないなぁ。ちなみにハーフコートは女性に数人いたけど基準が曖昧すぎるので数えずじまい。

駅のマフラー女性が多いけど、これは完全に防寒用じゃなくオシャレ巻きだ。「寒そうにマフラーを巻く」人をとうとう発見できなかった。

このデータからわかることは、俺が本当に物好きの暇人である、ということぐらいだ。本当に何をやってるんだ、俺は。

全部終わってから「そういや年齢別に分けりゃよかった」と思ったが後の祭。小学生以下のチビッコだけは除外してあるけどね。

かつて冬服だったもの

本当は他にも色んなものが消えてるんだろうなぁ。パッと思いつくのはイヤーマッフル。あの「フサフサしたヘッドホン」的なアレだ。一度再ブームで復活したけど、完全に沈黙。

あと微妙にダウンジャケットを見かけなくなったような気がする。一時期はあんなに流行ってたのにな。見かけても、なんていうか…薄い。往年のモッコモコのダウンジャケットは復権できないのかな。

「太め毛糸のニットのセーター」もなかなか無いな。取り回しが面倒なんだよね。今の若い子達も頑張って彼氏に編んだりするのだろうか?着てもらえる確率は低そうだ。

逆に目立って増えたのがニットの帽子だ。今では女子もオッサンも幅広く着用している。暖かいんだろうなぁ。致命的に帽子が似合わない俺は指をくわえて見ているしかないが。

冬の風景を変える技術

個人的には「毎年のお洒落トレンド」と並行した流れで「素材の技術革新によるダウンサイジング」が起きているのが面白い。世界をかき混ぜる手は一本ではない、ということか。

もう一つ、今の街ゆく人々は「マスクを掛けてる人が圧倒的に多い」という点を指摘しておきたい。花粉症、風邪予防、インフルエンザ、理由は様々だろうけど現在は完全に「マスクしている方」が多数派だ。

このマスクも微力ながら防寒の役に立っていると思われる。体感温度的に若干でも違えば衣服全体の簡素化、スリム化に繋がるだろう。

真夏の服装トレンドを技術で変えるのは難しい。そりゃサラサラ生地、吸水、汗などできることはあるが、特に見た目が変化するわけじゃない。TシャツはTシャツだ。

でも冬は違う。新素材が開発される度にシルエットのスリム化、体表面の露出、要するに春秋の服に近づいていくのだろう。

ただ、こういう所から「昔懐かしい冬の風景」が失われていくものなのかもね。昔のSFみたいな銀色のピチピチ全身タイツの正月風景になるまで、あと何年?

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