切断面/吉本隆明への追悼と献詩


一人の活動家として生き
大思想家として死んだ
硬質な言葉の詩人へ

「切断面」

数える
液体を
液体が入った瓶の数を
直交する数値と状態を
交換可能な積として

活字の全ての文字の
均等な不自由さが
あてもない飢えを
てにをは
ちらばった一群を
連続体として成立させている

黒い服の死神と
黒い服の参列者と
黒い服の資本主義者が
泡まみれの時代の下で出会う時
もたれかかる壁を探して
常に振動する

赤いカンテラはLEDに置き換わり
明滅する間隔は無限に短くなっていく
覚えている
憶えている
回数と明度を

桜のつぼみの下を冷たい風が吹き抜け
油断した季節を巻き戻す瞬間に
温度差に耳を澄ませる瞬間に
名前のない愛すべき寂しさと
溢れる愛おしい恐怖心が
轟音を立てて
足下から迫り来る

遠い街の誰かに
支払うはずだった対価を
数える
夜を
夜の暗さを
数えて

繋ぎ目がほどける
結合が劣化する
接着剤が変質する
時代の連続が途切れる

切断面からしか見えないもの
積み重なった地層の底へ

 

 

 

 

 

 

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