消費税を還付する制度がもし実現したら?

菅首相の消費税率10%(さらには15%を検討中)案の話。

そもそも民主党に政権交代すれば増税は必要ない、少なくとも4年間は増税の話すらしなくていい、という約束で政権交代したはずなんだけど。

まぁ無理でした、増税しましょう、消費税上げましょう、という話。

そして選挙直前&公示後になっても青森市で「収入が年間200万円とか300万円とか」、次いで秋田市では「年間300万円とか350万円以下の人は」、さらに山形市まで来ると「年間300万円から400万円以下の人には」消費税を返します、と言いだした。

さすがに「バラバラじゃん」とメディアでも突っ込まれてるんだけど、まぁそれもいい、菅首相に三つ以上の数をかぞえられると期待する方が間違ってる。

もちろん税制に興味がある人は超過累進課税とか逆進とか、間接税固有の問題としては物品や分野別に(生活必需品や嗜好品など)別々の税率適用とか、そういうことが頭に浮かぶと思う。

今回は、それともちょっと違う。一回とった税金を返すって言ってるわけ。共産党が「返すくらいなら最初から取るな!」って言ってる。まぁこの件に関しては正論だと思う。ただし消費税上げないっていうんじゃなくて、還付が気が遠くなるほど大変だから、徴収する時点でなんとかしろ、ってこと。

最初に思い浮かぶのが「え?日本全国の半分の世帯が、毎年毎年全てのレシートを保存しといて、それを全て税務署員がチェックして、消費税がかかった分を返すわけ?」って話。

無理だよね。今の何十倍の税務署員が必要になるんだ?各家庭の手間暇で失われるマンパワーのコストは?膨大な書類やレシートを既定年数保管する場所は?虚偽申告を防止する手段は?

もちろん菅は深く考えてる訳じゃなくて思いつきでしゃべってるんだけど、一応は似たようなことをやっている国は無いこともない。カナダだ。

もちろん全部計算してチェックして、なんてことはやらない。「みなし負担分」を部分的に給付する形だ。カナダの税制に詳しくないので州税の方はわかんないけど、連邦消費税GSTの方は過去の政府税調の資料だと270万くらいの年収家庭で6万4千円の満額、徐々に減って400万ぐらいで無くなる感じ。

400万とか言いだしてる根拠は、このカナダの税制が頭にあるのかな?もちろん全額還付とかわけのわからない制度じゃないんだけど。確かGST番号とか必要であんまり評判よくないんじゃないの?(←自信なし)

で、途中でも書いたけど、これって税率とか収入との累進制とか、そういう問題だけでも済まないんだよね。

高所得者が低所得者に頼んで買い物してもらったらどうすんの?

「10%の消費税率で400万以下の低所得者は全額還付」という世界を想像してみよう。金持ちが貧乏人に頼んで一億円の買い物をしてもらったら無税、貧乏な人へのお駄賃だけですむ。今までの5%税制だったら一億円の買い物をしたら黙ってても500万円取れるんだけどね。

もう一歩進んで、「高額所得者のための代理購入屋」という商売を始める人が続出。例えば1%(別にこの数値は10%以下なら何でもいい)の手数料で金持ちに代わって買い物をする仕事を始めました、と想像してみよう。

代理屋の手数料収入が400万を超えるまでは実質無税なんだよ?(笑)1%手数料だったら四億の買い物ができる。きちんと10%税率で支払いしたときの差額は3600万円(笑)

この前の子ども手当で懲りたでしょ?「バンバン海外の人と養子縁組すれば儲かる」実際にやる人はいないよなぁ、って言ってたら甘いんだよ。人は抜け穴があれば利用するよ?

もちろん穴はふさげる。色んな手段を使えるけど、それはもう税率とか税制の話じゃなくて、商法とか商取引の規制にまで話がおよんじゃうよ?って言いたいわけ。

まぁ、もちろんこんなことまで菅は考えてないし、来週になったら「そんなことを言った覚えはない」ぐらいのことは言いそうだけど。(笑)

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