教え子

昔からの教え子と会った。

最近、調子が悪く、落ち込んでいたそうだ。
まわりの人間も、もてあましていたが
「平松さんに会いたい」と言いだしたそうで、
「本人がそう言うんなら」と、連れてきてくれた。

まわりの人間が声をかけても
ずっと下を向き、口を開かなかった。
聞かれたことにも、ポツリと一言で答える。

私の前にきたときにも、そんな感じだった。
「どうしたんだい?」
「いやんなっちゃった」
「何が?」
「ぜんぶ」

私は時間をかけて、少しずつ
近況、悩み、恐れ、望みを聞きだしていった。
そして対応法を一つ一つ連れてきた人間に教える。

最期に「これからどうする?」と聞くと、
「違う所に行きたい」と言う。

「俺もだよ」と答えた。

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