電火の海

木星を避けるように
煌めきつつ飛ぶ
鋸歯状波の塊が
周波数分の一で
eを投げ返す

広がる断面を
薄くスライスして
薄い飴で包んで
夜店で販売する
あの男は?
名前は不明
経歴も不明
連絡先も不明
職業は電話交換手

吹き上がるフレアに
金色の手で触れる瞬間に
大事にしていたメモ帳は
全て白紙になり
スイッチがオンになり
新しい意識の一日が始まる

無限長の物差しで
僕らの距離を計る人々よ
ゴムの手袋を着用せよ
僕たちの会話
そして
そこから広がる
電火の轟音の海は
あまりにも熱い

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