ジャージ軍
学校帰りの電車にたまたま乗り合わせた、気の弱い私。まわりは
紫色のジャージで塗り固められている。男も女もない、純粋なジャ
ージ生物の群れの中で電車が駅につくのを待つ。
ジャージの持つ力。学生服でさえも、学校の個性を隠しきれない
というのに、ジャージは全てを色の記号に変えてしまう。その暴力
的な色彩の軍団は、その中における人間ドラマなどというものを外
部には感じさせず、色彩の記号を発信しつづける。
いったいどこの学校で、なんのためのジャージなのか?だれもが
思う疑問は、その色彩に飲まれて消える。最後までわからなかった
疑問は、いつも口から出る前に消えてしまうのだ。