睡眠の深き引力

気がつくと
ヨダレをたれ
口を大きく開けて
眠りが始まっていた

どうにか逃れようと
頭を振ってみる
手足をバタバタさせる
冷たい飲み物を飲んでみる
顔を洗ってみる
効力はほんの一瞬だけ
後は口を開けて待っている
深い眠りの底が
下の方にドロドロと見えてくる

絡みつく重力を振り払う
足には重りがつけられ
水面までの距離がわからない
ここで記憶が途切れてしまうのか
力尽きてしまうのか

運よく水面にたどり着く
ただ、記憶の方は
やはり途切れてしまったままだ
ノイズが入ったビデオテープのように

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