イランがgmailを「禁止」
本日2010年2月11日、イランでは大規模な反政府デモが予想されているというという話を聞いた。だからかどうかわからないけど、イランが国家単位でgoogleのメールサービス、g-mailを「永久に禁止」した。
インターネットと政治というのは、今までももうちょっと浅いレベルで「関係が深くなった」「影響力を強めた」とは言われてたんだけど、さすがにちょっと影響でかすぎないか、これ。しかもネット側からじゃなくて政治側からの一方的な先制パンチだ。
確か去年の夏も選挙前後に一方的にfacebookをはじめ何種類かのSNSが停止された覚えがあるんだけど、どんどん逃げ道がふさがれてる感じだな。その時は確か大規模にTwitterへの人の移動が起こったと思うんだけど、今度はTwitterの禁止はどうなんだろうな。(未確認)
技術的にはどうなんでしょ。普通は会社やイントラネット単位だと○○にアクセス禁止とかアプリの使用禁止とかやってるけど、国家単位でやる時にはどうやって制限かけるんだ?一カ所で管理できるもんでもないし、抜け道なんて結構ありそうな気がするけど。
まぁ世の中何でもかんでもgoogle、googleと言ってるのがちょっとだけ嫌な感じではあるんだけど、さすがにこれは別問題かな。言論の自由ってのももちろんあるんだけど、これってある意味インフラの問題なんだよね。
「反政府的なメールを書いた人を拘束、処罰」みたいなことをやるのも酷いだろう。でもそれって昔の電話の盗聴や手紙の没収と入れ物が変わっただけだ。昔ながらの独裁国家のやり口だろう。でも「情報インフラを停止」ってのはすごいな。「気に入らない地域への水道や電気を止める」レベルの発想だと思う。古代国家か。
チベットや他の小さな(といったら失礼だけど)国単位では「一時的に」アクセス禁止や使用停止の例はあった。(そして期間中には大抵ろくでもないことが起こる)今回はイランレベルの大きさの国で「永久に禁止」だ。まぁこの手の連中は口ばっかりな時が多いので、どれくらい本気の「永久禁止」かは疑わしいけど。
情報遮断の間に嫌な事件が起こらなければいいんだけど、ちょっと心配だ。さすがに「もうちょっとだけ」マシなレベルだと思ってたんだけど、イラン舐めてたな。
たぶん国家的には「くだらん流言飛語で惑わすネット文化は、、、」みたいな言い分があるんだろう。たぶんその内容は正しかったり間違っていたり、遠くの日本から簡単に判断するのはちょっと難しい。
去年の夏、日本でも選挙があり、デモがあり、ネット社会も盛り上がった。自分が見る限りではネットでの論調は(ギャーギャー言ってる方が目立つ、ってのももちろんあるけど)反民主に大幅に傾いていた。そして別に日本ではメール禁止もアクセス制限も掲示板停止も起こらなかった。(小さい事件はチラホラあったみたいだけど)
その結果は知っての通り。むしろ「ネットの影響なんて、たかがしれてるんじゃない?」なんて思えなくもない有様。もちろんたかがしれてるんだろうけど、遠い国イランでは過剰とも言えるほど体制側に恐れられている。これって何を意味しているんだろう。
北朝鮮でも中国でも、ちょっとアレな国ではネットの「統制するのが難しい」言論をインフラ単位でオン/オフする。小さい芽のうちに摘む、ってのもあるんだろうけど、恐れられているんなら逆にその「ネットの影響力」を信じてみてもいいんじゃないかな、と思う。
なんにせよ自分の国で急にネット上の「○○にアクセス禁止」「○○の使用停止」なんて事態が起こったら、本格的にヤバイってことだな。