詩の氾濫
いつもの帰り道にブックオフがある。由緒ある古書店という感じ
はしないのが玉に傷だが、100円本の安さには惹かれる。
詩の本のコーナーに立ち寄ると、自主制作、同人本と思われる一
群が100円で大量に並んでいる。「詩人」と名乗っているのを何よ
りも寂しく思う瞬間だ。
たどたどしく書き綴られた言葉が、投売りにされ、見向きもされ
ず、紙の屑となっていくのだろう。もしもその中に古今の詩人が思
いもよらなかったような珠玉の一節が刻まれていようとも。
詩人として生活することは、言葉に値段をつけることかもしれな
いが、詩人という生き物は、いつも順当な値段をつけるのをためら
ってしまうものだ。