混信中の電話線に注意せよ

鼻先の長い男が
人一倍空気を吸い込み
今まさに
動き出そうとしている

慌てて君に知らせようとしたんだよ
信じておくれ
嘘じゃないんだ
僕は大慌てだった
知らせようとしたんだ
君に
大事な事を
すぐに

男は動き出した
大気を震わせて
世界中の声を
一つに束ね
ランダムに引きずって
歩き回る
警察にも止められない
回復不可能な混信が
迷路のような幾何学的な図を描いて
君の元に届くとき
見当はずれのテレビの笑い声が
静かに減衰していくのを
苦々しい顔で聞くだろう

僕が本当に
大慌てで
真剣に
知らせようとしたのは
そんなことじゃない

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